2012年4月24日火曜日

溶連菌感染症


溶連菌感染症

溶連菌感染症(大久保医院新聞第62号)より抜粋

【目次】

 

Q1)溶連菌とはなんですか

Q2)溶連菌の症状はなんですか

Q3)発疹を伴う本症と発疹のない本症の違いはなんですか

Q4)発疹を伴う本症を例に臨床経過を説明ください。

Q5)溶連菌の診断方法を説明下さい。

Q6)溶連菌の治療を説明下さい。

Q7)合併症に対する注意はなんです か。

Q8)登園や登校の目安、家族への抗生物質の予防投与は?

Q9)溶連菌感染症患者の生活の注意点はなんですか

 


 

 

Q1)溶連菌とはなんですか


首痛み群発頭痛

A1)溶連菌とは、溶血性連鎖球菌という細菌名を省略したものです。溶連菌は細胞壁の構成成分である特異的多糖体抗原によりA〜V(IとJは除く)の20群に分類されるが、人に感染を引き起こすものの95%は、A群菌といわれる。A群菌は、さらに型特異M蛋白により現在60ぐらいの菌型があります。

 

Q2)溶連菌の症状はなんですか

A2)患者の年齢により症状が異なります。

 6ヶ月以内乳児期では、母親からの移行抗体の関連もあり、軽い鼻・咽頭炎で経過します。

 6ヶ月〜3歳児では、非特異的上気道炎を示し、臨床症状だけでは溶連菌と確定するのは困難です。一般には発熱(39℃〜40℃の事が多い)、咽頭痛、腹痛が見られ、咳・鼻水がほとんどみられません。溶連菌の流行状況、咽頭の発赤状況などから本症が疑われた場合は、A群溶連菌迅速試験を実施し診断を確定することになります。

 3歳〜12歳で幼児・学童期は、扁桃炎が主な症状で、発疹を伴うことが多くなります。この発疹を伴う溶連菌感染症を猩紅熱と呼びます。急性腺窩性扁桃炎になると扁桃・咽頭は著名に発赤し、扁桃に膿苔や偽膜性浸出物が見られ、口蓋には点状、斑状の出血斑がみられます。この年齢層の溶連菌感染症は、咽頭・扁桃・舌(いちご舌)の臨床所見のみで診断が可能です。


神経衰弱の症状は何ですか?

 年長児や大人では、咽頭炎・扁桃炎のみのことが多く、全身症状を示すことは少なくなります。

Q3)発疹を伴う本症と発疹のない本症の違いはなんですか

A3)溶連菌の型が発疹毒素を産生するかの型の違いだけです。感染症そのものものに違いはありません。対応も両者に違いはありません。

Q4)発疹を伴う本症を例に臨床経過を説明ください。

A4)本症の潜伏期は2−4日で、発熱と発疹がほぼ同時に出現します。発疹は潮紅を示し、腋下とそけい部に好発します。発熱は抗生物質の服用がないと5−6日、服用すると翌日には平熱化します。発疹は、抗生物質の服用がない5−7日続きますが、服用すると3日以内に消褪します。咽頭・扁桃の発赤も抗生物質を服用すると3日以内に消失します。解熱した頃に舌が真っ赤(イチゴ舌と呼びます)になることが多いです。

合併症の急性糸球体腎炎やリウマチ熱は、発熱後の2−3週間後に出現します。但し、最近では、リウマチ熱の合併はほとんどなくなり、急性糸球体腎炎の発症も1%以下になっています。

Q5)溶連菌の診断方法を説明下さい。


"スキンの高血糖"にきび

A5)外来診察時に、咽頭所見より溶連菌感染が疑われた場合は、咽頭のぬぐい液を用いたA群β溶連菌抗原検出用キットで検査をします。検査後10分以内にA群β溶連菌の有無の判定が可能です。

発疹の性状、咽頭の典型的所見から溶連菌感染が明らかなときは検査をせずに診断することもあります。

Q6)溶連菌の治療を説明下さい

A6)治療の主体は、抗生物質の服用です。溶連菌は、ほとんどがPC(ペニシリン剤)に感受性があるので、第一選択の抗生物質はPC剤です。PC剤を10日間服用が治療の基本となっています。当院では、胃腸障害がすくない広域PC(AM−PC:商品名サワシリン)を初期の5−7日間に用い、後半の3−5日間は、PC―Gに変更しています。

 当院では、病初期の2−3日間は、咽頭痛を抑え抗炎症作用がある小柴胡湯加桔梗石膏をPC剤に併用しています。

Q7)合併症に対する注意はなんです か。

A7)リウマチ熱の合併症は最近はほとんどなくなりました。腎炎は、流行する溶連菌の菌型によりなお発生が報告されていますので、当院では感染後2−3週間後に尿検査を施行して、発症の有無を確認しています。

Q8)登園や登校の目安、家族への抗生物質の予防投与は?


A8)抗生物質をきちんと3日間以上服用し、平熱が2日間確認されたら登園・登校を許可しています。通常は、検査で溶連菌が確認後4−5日目頃に登園・登校になります。

 患者さんの家族のひとへの予防投与は原則として行いません。他の家族の症状出現に注意してもらいます。

Q9)溶連菌感染症患者の生活の注意点はなんですか

A9)抗生物質をきちんと服用し、発熱のある間(おおむね2−3日間)は、安静にして静養につとめます。この期間はできるだけ隔離し流行を防ぐことが肝要です。解熱し2日間平熱になれば普通生活でよく、生活の制限は不要です。抗生物質の副作用(胃腸障害など)に注意します。

 



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