2012年4月25日水曜日

Clipping News:フロンティアコーポ・メディック:So-netブログ


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1.高齢者医療新制度、保険料8万5000円 厚労省、75歳以上で試算
2.【11年の世界医薬品市場】市場規模は8800億ドルに
3.指先の細かな動き、脳活動から再現 訓練不要、「考えるだけでロボット操作」に一歩
4.病棟看護システムを802.11n無線LANで構築/長野・相澤病院
5.インスリン 分泌メカニズム解明 岡崎の研究所
6.シークヮーサー:果皮成分 ATL抑制
7.妊娠初期の「花粉」が、子どものアレルギーと関連 フィンランド研究
8.腰痛防止へ「腰みがき」 日ごろの運動と姿勢が大事
9.[解説]米でES細胞の臨床試験開始
10.神戸薬科大、ヒト体内にビタミンK2合成酵素発見、K1と反応し変換
11.アンジェスMG、次世代デコイが腹部大動脈瘤に有効
12.テルモ、人工肺に新膜素材採用の経皮的心肺補助システム発売
13.科学的根拠なし、『コレステロール高い方が長生き』ガイドラインに反対声明
14.2011年春の花粉飛散は昨年の2~10倍
15.JRC(日本版)ガイドライン2010が公表
16.医師の8割がJSH2009を診療に使用。今後の課題は減塩
17.ダイエットで脂肪を減らしたければ十分な睡眠を
18.eGFR低値はその後の脳卒中リスクを予測する
19.2倍用量クロピドグレル、PCI施行ACS患者に対する有用性を確認
20.ショ糖は、痛みを伴う処置を受ける新生児の疼痛緩和に有効か
21.Study points to possible gene therapy for depression
22.FDA Calls for New Warnings on Some Prostate Cancer Drugs
23.Home Monitoring of Blood-Thinner Use Appears Effective
24.Can Coffee, Tea Lower Brain Cancer Risk?
25.プレスリリース
1) FDA: Include warnings on risk for class of prostate cancer drugs
2) 脳活動計測で「指先の動きをPC上に正確に再現する」技術開発に成功
3) 脳血管内皮細胞特異的なアミロイドβ前駆体タンパク質を発見
4) 「ダビガトラン エテキシラート」を非弁膜症性心房細動患者の脳卒中発症リスク抑制の適応で承認
5) 肝細胞がん再発抑制剤「ペレチノイン(開発コード:NIK-333)」の臨床薬理試験のデータを第61 回米国肝臓学会議で発表
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1.高齢者医療新制度、保険料8万5000円 厚労省、75歳以上で試算
日本経済新聞社2010年10月21日

厚生労働省は20日、2013年度に導入する新しい高齢者医療制度について、75歳以上の平均保険料の試算をまとめた。現在の平均保険料は年6万3000円だが、新制度を導入後の20年度には8万5000円まで増える。ただ、これは現行制度を続けた場合よりも2000円低くなる計算。厚労省は税金や現役世代の負担を増やして高齢者の負担を抑える。
 厚労省は25日に開く「高齢者医療制度改革会議」にこの試算を示す。試算の対象となったのは13年度に市町村が運営する国民健康保険(国保)に移る約1200万人。新制度では高齢者の保険料の伸び率を現役世代並みに抑える。こうした影響で25年度の平均保険料は9万5000円と現行制度を続ける場合よりも6000円低くなる。
 高齢者の負担が実質的に減る分、税金と現役世代の負担は膨らむ見通しだ。具体的には、現在は75歳以上の医療給付費の47%を税金で負担しているが、この割合を50%に高めて700億円を新たに投入する。
 さらに高齢者医療向けの支援金を年収水準の高い健康保険ほど多く出す仕組みをとる。13年度は大企業の会社員らが加入する健康保険組合は200億円、公務員の共済組合は600億円の負担増になる。一方で国保と中小企業の会社員らが入る協会けんぽはそれぞれ600億円ずつ負担減となる。

2.【11年の世界医薬品市場】市場規模は8800億ドルに
‐中国が世界第3位に浮上
薬事日報社2010年10月21日

米市場調査会社のIMSヘルスは、2011年の世界医薬品市場の成長率は5~7%、市場規模は8800億ドルに達するとの予測を発表した。先進国市場は特許切れの影響などで一桁成長にとどまるものの、新興国市場が二桁成長で牽引し、世界市場の約半分を占めると分析。特に中国の成長率は25~27%と大幅な伸びを示し、世界第3位の市場になると見通した。
 同社は、10年の医薬品市場の成長率4~5%に対し、11年は5~7%と回復傾向を予測。ただ、先進国市場で主力品の特許切れや医療費抑制政策など、成長抑制要因が強まると指摘し、最大市場の米国は3~5%、欧州主要5カ国は1~3%、日本は薬価改定の影響が少ないことから5~7%と一桁成長にとどまると見通した。
 一方、新興国17カ国の成長率は15~17%、市場規模は1700~1800億ドルと、世界市場の約半分を占めると分析。特に中国の成長率は25~27%と高い伸びを示し、市場規模は約500億ドルに達して、世界第3位の市場になると予測した。
 また、11年にはスペシャリティー製品中心の新薬が導入され、主要な疾患領域でアンメットニーズを満たす大幅な治療パラダイムの転換が起こると分析。脳卒中予防、黒色腫、多発性硬化症、乳癌、C型肝炎などの分野に革新的新薬がもたらされるとし、11年末までに、売上高10億ドルを超えるブロックバスターの可能性のある5製品が世界的に承認、上市されると予想している。

3.指先の細かな動き、脳活動から再現 訓練不要、「考えるだけでロボット操作」に一歩
ITMedia News2010年10月21日

NICTとACRは、脳活動を計測し、指先の素早い運動をなめらかな動きでPCディスプレイ上に再現することに成功。ロボットの遠隔操作や遠隔医療などに応用できる技術として研究を進める。
情報通信研究機構(NICT)と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は10月20日、脳活動を計測し、指先の素早い運動をなめらかな動きでPCディスプレイ上に再現することに成功したと発表した。ロボットの遠隔操作や遠隔医療などに応用できる技術として研究を進める。

 ユーザーがさまざまな方向に指先を素早く動かしている時の脳活動から、指先がどこにあるかを0.02秒の時間間隔で再構成することに成功。脳磁図(MEG)と機能的磁気共鳴画像(fMRI)を組み合わせ、脳のどの場所が活動しているかを、高速に計測できるようにした。
 脳波を計測して四肢の動きをコンピュータやロボットに再現する技術はこれまでにもあったが、信号処理しやすい脳波パターンを生じさせるよう、ユーザが長期間にわたって訓練する必要があったという。新技術では、脳の情報を効率的に読み出すことで、訓練不要で自然な四肢の動きを再構成できるのが特徴としている。

4.病棟看護システムを802.11n無線LANで構築/長野・相澤病院
ZDNet Japan2010年10月21日

 ディアイティは10月20日、長野県松本市の慈泉会相澤病院の「病棟看護システム」を802.11n無線LANで構築したことを発表した。米Meru Networksの無線LAN製品を利用し、病室内で電波干渉を起こさない802.11n無線LANシステムを構築している。
 相澤病院は、長野県の救急医療で高い実績を持つ病床502床の民間病院。トモセラピーやPET(ポジトロン断層撮影法)などの最先端設備を用意し、チーム医療に注力しつつ、業務効率の改善にも積極的に取り組んでいるという。これまでも無線LANを利用した病棟におけるオーダー情報の参照、カルテ参照と入力を導入してきた。
 今回は「看護師をナースステーションからベッドサイドへ」とテーマを設定。業務改善の取り組みの一環として、病室での看護システムの稼働を目的に802.11nでの無線LANシステムの構築を目指した。
 ディアイティでは、新無線LANシステムの構築にあたっては、医療機関での実績をもとにMeru Networksの製品を採用、コントローラ2台とアクセスポイント136台を導入し、病室内においても電波干渉を起こさない802.11n無線LANシステムの構築に成功したという。また、頻繁なレイアウト変更やクライアントの増設、帯域拡張といった病院特有の課題を解決し、病室内のノートPCでもナースステーションのデスクトップPCと同じように業務アプリケーションを操作できる環境が整ったとしている。
 相澤病院では、患者のベッドサイドでの端末利用が可能になったことから、患者の装着するバーコードと注射器のバーコード照合が可能になった。また、リアルタイムでの治療と投薬の情報入力が可能になったことで、病室とナースステーションとの往復時間が削減され、業務効率が大幅に向上。看護師の残業時間も半分となり、余裕をもって患者のケアに従事できるため、医療の質の向上にもつながったという。

5.インスリン 分泌メカニズム解明 岡崎の研究所
読売新聞社2010年10月21日

糖尿病治療薬に期待
 膵臓(すいぞう)の中にある特定のたんぱく質が糖と消化管ホルモンの刺激を受けて、血糖値を下げるインスリンの分泌を促すメカニズムを世界で初めて解明したと、自然科学研究機構・生理学研究所(岡崎市)の富永真琴教授(分子細胞生理学)らの研究グループが20日発表した。
 アメリカ糖尿病学会の専門学術雑誌「ダイアベテス」電子版(10月4日)に論文が掲載された。食物が体内に入ると消化管から分泌されるホルモン・インクレチンの刺激が作用するメカニズムは、これまで不明な部分が多かった。インスリンが不足するタイプの糖尿病治療にはインスリン注射などが主流だが、富永教授は「今回の発見でインスリン注射に代わる画期的な経口薬の開発につながる可能性がある」と話している。
 富永教授は、膵臓の細胞がインスリンを分泌する時に作用するたんぱく質「TRPM2」に着目。遺伝的にこのたんぱく質が欠損したマウスを使って血糖値の様子を観察した。その結果、欠損したマウスでは糖や消化管ホルモンを与えてもインスリンの分泌は少なく、血糖値はそれほど下がらなかった。一方、通常のマウスに糖と消化管ホルモンを別々に投与すると、双方にTRPM2が対応してインスリンの分泌を促すことがわかった。
 このため、TRPM2を効果的に刺激する物質が分かれば、インスリンの分泌を効果的に促す薬の開発につながるという。

6.シークヮーサー:果皮成分 ATL抑制
毎日新聞社2010年10月21日

 シークヮーサーの果皮に含まれる香り成分の一種「ベータ・カリオフィレン」に成人T細胞白血病(ATL)や炎症性疾患を抑える作用があることが大分大学医学部の伊波英克准教授や琉球大学農学部の和田浩二教授らの研究で分かった。ATLに対する新規の機能が確認できたとして、物質特許を出願している。両教授が19日、沖縄科学技術振興センターの地域産業技術活性化・高度化支援事業成果報告会で発表した。
 ベータ・カリオフィレンはユズやカボスなど一部のかんきつ類にしか含まれていない。実験室レベルの研究で、臨床試験には至っていないが、伊波准教授によると、サプリメントなどへ応用できる可能性があるという。
 ATLはヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染により通常の細胞にTax(がんタンパク質)が発生し、Taxの作用で免疫応答反応に働く遺伝子群の発現をつかさどる核内転写因子NF-κBが過剰に活性化することで発症する病気。国内に120万人のHTLV-1感染者がおり、その5割が九州・沖縄地方に偏在している。
 ベータ・カリオフィレンはTaxを分解することにより、NF-κBの過剰活性化を阻害する効果があるという。
 実験ではベータ・カリオフィレンのATL細胞に対するアポトーシス(細胞死)誘発作用は、正常細胞に対する作用の20~100倍であることを確認した。
 伊波准教授は「ベータ・カリオフィレンはATL関連では全くノーマークの物質だった」と語った。

7.妊娠初期の「花粉」が、子どものアレルギーと関連 フィンランド研究
AFPBB News2010年10月21日

子どものアレルギーリスクは、妊娠3か月目までの季節と関係している可能性があるという研究結果が、20日の英医学専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に発表された。
 フィンランド・オウル大(University of Oulu)の研究チームは、同国南カレリア(South Karelia)県で2001~06年に生まれた子ども5920人のうち、4歳までにアレルゲン皮膚テストを受けた961人に注目した。
 陽性反応が出たのは、10~11月生まれでは10%と、6~7月生まれの2倍だった。10~11月生まれでは、特に牛乳と卵に対するアレルギー反応が強かった。
 理由については、10~11月生まれは、胎児の成長において重要な時期である妊娠11週目に大量のカバノキ、ハンノキの花粉にさらされたためではないかと見ている。これらの花粉の飛散量が1年で最も多いのは4~5月だ。
 反対に、飛散量が最も少ないのは12~1月。アレルギー反応が最も弱かったのが6~7月生まれであることと符合する。
 赤ちゃんが妊娠初期に胎内で強力なアレルゲンに触れると、免疫系の発達に影響を及ぼす可能性があるが、そのメカニズムは不明だ。
 スウェーデン、日本、オランダの研究者らも、これまで、北半球の秋冬に生まれた子は、春夏に生まれた子に比べ、湿疹やぜんそくに似た喘鳴にかかりやすく、血中の抗原レベルも高いとする研究結果を発表している。

8.腰痛防止へ「腰みがき」 日ごろの運動と姿勢が大事
産経新聞社2010年10月21日

原因を特定できない慢性腰痛症を予防するため、「腰みがき」が提唱されている。歯磨きのように習慣として正しい姿勢の維持と運動をすることを指し、腰痛の治療や防止を図るのが目的。腰痛は、運動機能の衰えから歩行機能が低下する「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」の要因の一つと考えられ、ロコモ予防の手段としても腰みがきは有効だという。


"キリスト教のうつ病"

白土教授が紹介する代表的な筋トレ。背筋はうつぶせに寝て、おへそよりしたに枕を挟む。あごを引いて上半身をゆっくり起こし、10センチ上げたところで5秒止めるといいという(白土教授提供)(写真:産経新聞)
 ◆歯磨きのように
 腰みがきを推奨しているのは、福島県立医科大学の白土修教授(整形外科)。「腰みがきを行うことで腰痛の治療にもなるし、予防にもなる」と話す。「腰みがき」という名称は、歯磨きと同じように、姿勢に気を付けて運動することを、生活習慣として実施することを意味している。
 運動による腰痛予防効果は調査でも実証されている。日本整形外科学会など3学会は平成16~17年、慢性腰痛症の患者約200人を2グループに分けて調査。1グループは薬物療法、別のグループは運動療法をそれぞれ8週間続けたところ、痛みの緩和については2グループとも同等の効果を得られた。しかし、体の動きやすさ、生活のしやすさなどの項目については、運動療法の方が効果があった。
 ◆負担避け筋肉強化
 腰みがきは具体的にどのようにやればよいのか。白土教授は「腰に負担のかからない姿勢がどういうものかを知って実践する。もう一つは腹筋と背筋を鍛える運動をして、体を柔らかくするストレッチを行うこと」と説明する。筋力を鍛えるのは、背筋や腹筋など背骨を支える筋肉が弱くなると、腰にかかる負担が大きくなるからだという。
 姿勢に関しては、腰の骨のカーブを正しく保つのが重要。体が深く沈み込むソファなどに座るのは腰椎が前に湾曲した状態が強まるため、腰の負担を高める。いすに座る際は深く腰掛け、背中を背もたれに密着させる。立っているときは、かかとが高い靴は避け、胸を張るようにすることなどを推奨する。
 運動は腹筋と背筋を10回を1セットとして1日2セット行い、腰の周りの筋肉などを和らげるためのストレッチも不可欠という。腰みがきを分かりやすく伝えるため、白土教授は「腰みがき10カ条」を作成、提唱している。(1)背筋を伸ばす(2)おなかに力を入れる(立ち姿勢)(3)お尻をすぼめる(同)(4)ひざを軽く曲げる(同)(5)いすには深く腰かけ、机に近づく(6)ひざを曲げて寝る(7)うつぶせで寝ない(8)ひざを曲げて荷物を持ち上げる(9)急に体をひねらない(10)毎日かかさず運動を-だ。
 一方で、注意も必要という。がんの転移や感染症などが原因の腰痛もある。このため、白土教授は「自分の腰の状態を整形外科医に診てもらったうえで実践してほしい」。実施にあたっては、専門家のアドバイスを受けるのが必須という。
 ■男女とも悩みの上位
 平成19年の国民生活基礎調査によると、病気やけがなどで自覚症状のある人は人口1千人当たり327・6人。症状別に見ると、男性では腰痛が1千人当たり87・4人でトップ。女性でも腰痛は肩こりに続く2位で、1千人当たり117・9人に上る。
 傷病で通院している割合(通院者率)では、腰痛は男性の場合、高血圧症、糖尿病、歯の病気に続く4位で、1千人当たり37・6人。女性では2位で、1千人当たり54・2人。
 多くの人が腰痛に苦しんでいる様子がうかがえる。

9.[解説]米でES細胞の臨床試験開始
臨床研究遅れる日本…指針先送り、行政に問題も
読売新聞社2010年10月21日

脊髄損傷や重いパーキンソン病など、これまで不治とされた様々なけがや病気が、これで治るようになるかもしれない。米バイオ企業ジェロン社(本社・カリフォルニア州)が、様々な細胞に変化できる「胚性幹細胞(ES細胞)」を使った世界初の臨床試験をついに開始した。
対象は、事故によって手足などが動かなくなった脊髄損傷患者だ。同社は、神経を守る細胞へ変化する直前の細胞をES細胞から作製。2年間で計8~10人の脊髄に注入し、まずは安全性を確認する計画だ。
万能細胞とも呼ばれる人間のES細胞が初めて米国で作製されたのは1998年。以来、「医療に革命を起こす」として世界各国で研究競争が激化した。その流れの中で、京都大の山中伸弥教授も2007年、人間の新型万能細胞(iPS細胞)の作製に成功した。
ES細胞やiPS細胞などによる再生医療の対象となる病気やけがは、数限りない。日本政府が再生医療を新成長戦略に盛り込み、破格の研究費を投じるのはこのためだ。
しかし国内ではジェロン社のような企業が育っていないため、ES細胞を使う臨床試験は計画すらない。このため医師らが主導する臨床研究で下準備を進めるしかないが、ES細胞の臨床研究を進めるのに必要とされる国の指針もない。
なぜなのか。ES細胞は受精卵が細胞分裂した「胚」を壊し、中から特殊な細胞を取り出して作る。胚は不妊治療で余ったものを使うが、子宮に戻せば人間に育つから、生命の萌芽(ほうが)とも呼ばれる。米国でも使用に対する反発がキリスト教保守派を中心に強く、ブッシュ前政権下ではES細胞を用いた研究への連邦予算助成が打ち切られた。
ジェロン社はそれでも、独自に資金を調達して研究を進め、再生医療に理解のあるオバマ政権となった昨年1月、米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始の承認を勝ち取った。米国ではFDAの承認を前提とした研究指針がすでに整備されており、同社の臨床試験もこれを踏まえている。
これに対し、厚生労働省がES細胞の臨床研究指針の策定作業に着手したのは、同社の臨床試験が決まった後の昨年5月から。今年11月ごろには策定される見通しだが、人間のES細胞が作製されてからは12年も経過している。
その背景には、難しい倫理問題を棚上げしてきた厚労省の姿勢がある。京都大の加藤和人准教授(生命倫理学)らも「行政による規制策定の遅れが、人間の細胞を使った応用研究が進まない一因である」とする論文を今年5月に発表。遺伝子や細胞などを使った新しい研究の指針策定が議論の開始から5~10年かかる問題点を指摘している。
再生医療の本命とみられるのはiPS細胞だ。皮膚などの体細胞を使って作るため、倫理問題を回避できるからだが、安全性では課題が多いiPS細胞の実用化にはお手本になるES細胞のさらに詳しい研究が欠かせない。慶応大の岡野栄之教授は「細胞の移植に伴う拒絶反応や腫瘍(しゅよう)化の危険性は、動物と人間で大きく異なる。最終的にiPS細胞を使った医療の実現を目指すとしても、ES細胞の臨床研究は必要」と強調する。
もちろん、ES細胞を使うのなら丁寧な議論を重ねることが必要だし、少なくとも米国ではそうやって指針を策定した。議論を避け、決定を先送りするばかりでは、膨大な予算をつぎ込んだ研究の果実を他国にさらわれてしまうからだ。

10.神戸薬科大、ヒト体内にビタミンK2合成酵素発見、K1と反応し変換
化学工業日報社2010年10月21日

神戸薬科大学衛生化学研究室の岡野登志夫教授、中川公恵講師の研究グループは、骨粗しょう症や血液凝固の予防と治療に効果のあるメナキノン-4(ビタミンK2)を特異的に合成する酵素「メナキノン-4生合成酵素」が体内に存在することを発見した。栄養素であるビタミンK2は従来、菌類しかつくれないと考えられていた。今回の発見によると、ヒト細胞のなかに菌類の産生するものと類似した酵素遺伝子があり、しかも野菜などから摂取するフィロキノン(ビタミンK1)と反応させると、ビタミンK2へと変換させることが立証できたとしている。栄養学の観点からも定説を覆す成果で、18日に英科学雑誌「ネイチャー」オンライン版に掲載された。
ビタミンK2は、骨の形成に働く因子の発現を誘導し、骨粗鬆症の治療薬などに使われている物質。10種以上の同族体があり、腸内細菌の働きで、メナキノン-4よりも長い側鎖構造をもつメナキノン-6、-7などは生体内でもつくられることが知られているが、これまでヒトで-4の合成を触媒する酵素は確認されなかった。
神戸薬科の研究グループは、食事から摂取したビタミンKの大半がビタミンK1であるにもかかわらず、生体組織にビタミンK2として多く存在することに着目。そこで菌類がつくりだす合成酵素と、よく似た酵素を産生する遺伝子がヒトにあるとの仮説をたてて、ヒト遺伝子情報のデータベースを詳しく調べ、機能の似た反応をしめすとみられる酵素遺伝子を見いだした。
同遺伝子をヒト骨芽細胞に導入し、強制発現させ、また同遺伝子の欠損した培養細胞と比較したところ、導入細胞ではビタミンK1やメナジオン(ビタミンK3)を加えると、多くビタミンK2が産生されたという。同酵素は、全身の組織で発現していることもわかり、細胞内の小胞体に局在していることも突き止めたとしている。
同酵素の存在のわかったことで、これがビタミンK類の体内での生理機能を握るキーたん白質とみており、活性力を高めるなど骨粗しょう症や脳神経疾患に対する有効な治療薬開発への応用が期待されるという。

11.アンジェスMG、次世代デコイが腹部大動脈瘤に有効
化学工業日報社2010年10月21日

アンジェスMGは、大阪大学が静脈投与による全身投与を可能にした第2世代デコイを開発した。阪大の研究チームが、アンジェスが権利を持つ第2世代のリボン型NF-κB/etsキメラデコイオリゴの研究で、腹部大動脈瘤に対する有効性を確認した。
NF-κB/etsキメラデコイは、NF-κBとetsの2つの転写因子に対する阻害作用を持つダブルデコイ。ラット腹部大動脈瘤モデルに投与したところ、動脈瘤の大きさを統計学的に有意に抑制したという。
現在、大動脈瘤の治療法は人工血管かステントグラフトに置換する手術が主流で、有効な薬剤はない。

12.テルモ、人工肺に新膜素材採用の経皮的心肺補助システム発売
化学工業日報社2010年10月21日

テルモは18日、新膜素材を採用した人工肺を組み込んだ経皮的心肺補助システム「キャピオックスカスタムパックEBS心肺キットLXタイプ」を発売したと発表した。同製品市場ではテルモが現在90%のシェアを握っており、新製品投入で市場地位を一段と強固にする。
経皮的心肺補助システムは遠心ポンプと人工肺のキットからなり、心臓のポンプ機能を代行し全身の循環を補助する医療機器。心停止の緊急蘇生や、重症心不全に対する一時的な循環補助の目的で使う。
新製品は人工肺の膜にポリメチルペンテン膜を採用。血液が接触する膜表面にごく小さな孔があるスキン層構造のため、ガス交換性能を維持しながら耐久性に優れるという。またハンドルの両端に人工肺と遠心ポンプを接続してユニット化したことで、確実・簡単にセットアップできるようにした。保険償還価格は26万5700円。

13.科学的根拠なし、『コレステロール高い方が長生き』ガイドラインに反対声明
「必要な治療を否定、断じて容認できない」、日本動脈硬化学会
M3 2010年10月21日

10月20日、日本医師会・日本医学会・日本動脈硬化学会は、合同で記者会見を開き、日本脂質栄養学会が発表した「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」について、「科学的な根拠がない」とする日本動脈硬化学会の声明を発表した。
 原中勝征・日本医師会長は、「科学的な根拠がなく、患者を誤った方へ導くもの。国民は報道の影響を受けやすく、コレステロールについて治療をしない方が長生きすると誤解すると、大変危険。国民に正しい理解をしていただくとともに、マスコミにも一時の軽々な発表に基づいて国民の健康を損ねることがないようお願いしたい」と述べた。高久史麿・日本医学会長も、「学問的に考えても無茶な理論。死亡の原因は多くあり、そのうちの一つだけを取り上げて死亡と結びつけることには全く科学的根拠がない。日本の死亡原因の第2位である、動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞に、コレステロールの高さが関係していることは、世界的にも証明され、認められている。日本脂質栄養学会は日本医学会には加入していないが、一つの� ��会がこのようなことを発表したのは非常に残念だし、誤ったことだ」とした。
 寺本民雄・日本動脈硬化学会副理事長は、日本脂質栄養学会ガイドラインについて、(1)当該ガイドラインで引用されている中心的な論文は、ほとんどが査読を受けていない論文であり、学術論文の科学性を担保されているとは言えない。また、これに基づくメタ解析も、科学的信頼度が高いと見做すことはできず、そのようなガイドラインを"ガイドライン"と呼ぶことは容認できない、(2)コホート研究において、血清コレステロール値と総死亡との関係を論じているが、多様な原因で起こる死亡とたまたま死亡の数年前に測定された血清コレステロール値との関係に因果関係を求めることは本来無理があり、結論は極めて慎重に導き出す必要がある。血清コレステロール値が患者の栄養状態や顕在的潜在的を問わず疾病の存在を反映� �ることは医の常識であり、特に肝疾患で血清コレステロール値が低下することは診断学的にも用いられている。このような背景を持つ人々の短期の死亡率が高くなる可能性があることも医の常識である、(3)観察研究であるコホート研究と臨床介入試験との違いを混同している。このため、血清コレステロール値を下げると死亡率が上がるという憶測にたどり着く可能性が生じ、決定的な過った解釈を導く可能性が生じる、とする3つの問題点を指摘。
 「これまでに発表された、科学的検証に耐え得る臨床介入試験のメタ解析の結果では、LDL 低下薬(スタチン)で血清コレステロール値を下げても総死亡が増加することはなく、むしろ統計学的に有意に減少することが証明されている。また、多くの臨床介入試験の結果によれば、血清コレステロール値が高い人々を治療して動脈硬化性疾患を予防できることは、科学的にほぼ完全に確立された事実。コレステロールもしくはLDL コレステロールと動脈硬化の関係については、病理学的研究、細胞生物学的な基礎研究でも証明されている」(寺本氏)と説明し、「当該"ガイドライン"が発表されて以来、高いリスクを持つにもかかわらず服薬をやめたいという患者も出てきていると聞く。日本動脈硬化学会は、科学的根拠なく、必要な患者の治療を否定するような"ガイドライン"を断じて容認することはできない」(同)と強調した。
◆日本医師会『「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」に対する声明』

14.2011年春の花粉飛散は昨年の2~10倍
ほとんどの地域で「例年並み」に
日経メディカル2010年10月21日

日本気象協会は10月15日、2011年春のスギ・ヒノキ・シラカバ花粉の飛散予測を発表した。北海道と東北北部を除くと、花粉の飛散数は例年より多いか、例年並みになる見込み。2010年春は、花粉の飛散数が過去10年間の平均と比較して10~50%と少なかったため、来春は今年の2~10倍になりそうだ。
 花粉の飛散数は、夏の気象条件の影響が大きい。一般に、猛暑の夏は花芽が多く形成され、翌春の花粉の飛散数が多くなる。また、花粉の飛散が少ない都市の翌春は飛散数が多くなる傾向がある。今年は記録的な猛暑となり、全国的に気温が平年よりもかなり高かった。このほか、日照時間も九州を除けば総じて平年より多かった。このように、花粉の飛散数が増える条件がそろっていることから、来春はほとんどの地域で飛散数が昨年を上回ると予測されている。
地方概況
地方 花粉種別 総飛散数
例年比 総飛散数
2010年比 予測の概況
北海道 シラカバ 少ない やや多いか、
2010年並 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年並、降水量は平年よりかなり多くなりました。総飛散数は例年より少ないでしょう。2010年と比べるとやや多いか、2010年並でしょう。
東北 スギ
ヒノキ科 北部:
例年並か、やや少ない


一歳の便秘

南部:
多いか、やや多い 多いか、2010年並 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年より多く、降水量は平年並になりました。総飛散数は、北部は例年並かやや少なく、南部は多いかやや多いでしょう。2010年と比べると多いか、2010年並でしょう。
関東
甲信 スギ
ヒノキ科 多いか、
やや多い 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年よりかなり多く、降水量は平年より少なくなりました。総飛散数は、例年より多いかやや多いでしょう。2010年と比べると非常に多いでしょう。
北陸
新潟 スギ やや多い 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年より多く、降水量は平年より少なくなりました。総飛散数は例年よりやや多いでしょう。2010年と比べると非常に多いでしょう。
東海 スギ
ヒノキ科 多いか、
やや多い 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年よりかなり多く、降水量は平年並になりました。総飛散数は例年より多いかやや多いでしょう。2010年と比べると非常に多く、10倍以上となる所があるでしょう。
近畿 スギ
ヒノキ科 やや多いか、
例年並 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年より多く、降水量は平年より多くなりました。総飛散数は例年よりやや多いか例年並でしょう。2010年と比べると非常に多く、10倍以上となる所があるでしょう。
中国
四国 スギ
ヒノキ科 やや多いか、
例年並 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年並か平年より多く、降水量は平年並になりました。総飛散数は例年よりやや多いか、例年並でしょう。2010年と比べると非常に多いでしょう。
九州 スギ
ヒノキ科 例年並か、
やや少ない 非常に多い 2010年夏の平均気温は平年よりかなり高く、日照時間は平年並か平年より少なく、降水量は平年並か平年より多くなりました。総飛散数は例年並かやや少ないでしょう。2010年と比べると非常に多いでしょう。
言葉の説明
平年:1971~2000年の平均値
例年:過去10年(2001~2010年)の平均値
非常に多い:例年の200%以上
多い:例年の150%以上200%未満
やや多い:例年の110%以上150%未満
例年並:例年の90%以上110%未満
やや少ない:例年の70%以上90%未満
少ない:例年の50%以上70%未満
非常に少ない:例年の50%未満

15.JRC(日本版)ガイドライン2010が公表
救急蘇生のためのガイドラインが変更へ
日経メディカル2010年10月21日

日本蘇生協議会(JRC)と日本救急医療財団は10月19日、「JRC(日本版)ガイドライン2010」のドラフト版を公表した。5年ぶりに、救急蘇生のルールが変更される。
 JRC(日本版)ガイドライン2010は、JRCと日本救急医療財団によるガイドライン作成合同委員会が、Consensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)2010に基づいて作成した日本版の救急蘇生のガイドライン。CoSTR2010は、国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が、CoSTR 2005以降に蓄積されたエビデンスに基づいて作成した国際的なコンセンサスだ。
 JRC(日本版)ガイドライン2010は、1次救命処置(BLS)、成人の2次救命処置(ALS)、小児の蘇生(PBLS、PALS)、新生児の蘇生(NCPR)、急性冠症候群(ACS)、神経蘇生、教育と普及のための方策の7項目からなる。現時点で、神経蘇生以外の6項目についてドラフト版が公表されている。
 1次救命処置では、「心停止と判断した場合、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫から心肺蘇生(CPR)を開始する」など、胸骨圧迫の重要性がこれまで以上に強調されたほか、成人の2次救命処置では、「心拍再開した成人に対するより厳密な血糖管理」などが推奨されている。
 今回公表されたのはドラフト版で、後日、引用文献や序文などが盛り込まれた完成版が公表される予定だ。
◆ドラフト詳細は下記PDFをご覧ください(日本蘇生協議会HPより)
1)一時救命措置

2)成人二次救命処置

3)小児の蘇生

4)新生児の蘇生

5)急性冠症候群

16.医師の8割がJSH2009を診療に使用。今後の課題は減塩
日経メディカル2010年10月21日

JSH2009の認知度は高く、ガイドラインで推奨されている治療を「ほとんど」「おおむね実践する」と答えた医師は83%に上ること、しかし、診療においては減塩指導が十分に行われておらず、目標摂取量など具体的指導の推進が今後の課題であることなどが明らかになった。
 久留米大心臓・血管内科の甲斐久史氏らが福岡県内科医会・佐賀県医師会内科医部会の会員に対して行ったアンケート調査により明らかになった。10月15日から福岡で開催された第33回日本高血圧学会で甲斐氏が発表した。
 甲斐氏は、2009年に改訂された高血圧診療に関するガイドラインJSH2009が実地医家の診療に役立っているのか、また実地医家が日常の高血圧診療においてどのような考えを持っているのかについてアンケート調査を行った。
 対象は福岡県内科医会の会員2065人と佐賀県医師会内科医部会の会員350人の計2415人。平成22年の6~8月に、郵送調査法を行った。回収率は37.1%。
 調査対象者の背景は、男性90.2%、女性9.8%。50歳代が最も多く32.8%、60歳代24.9%、70歳代18.3%、40歳代16.9%だった。勤務形態は、人開業は68.9%、病院勤務は20.5%だった。診療は内科が88.5%、全体の90.7%が高血圧学会の非会員だった。
 JSH2009ガイドラインについて、91.0%が知っていると答えた。内容をどのように知ったかという問いに対しては、「入手した」が38.7%、「講演会に出席した」が20.4%、「医学メディアを通して一部知っている」が18.9%だった。JSH2009発表後、日本高血圧学会が全国各地で講演会を主催したが、この講演会はガイドラインとその内容の普及に関して貢献したと甲斐氏は指摘した。
 「JSH2009を知っている」と答えた医師の10.0%がJSH2009の推奨に沿った診療を「忠実に行っている」と答え、72.5%が「おおむね行っている」と答えた。
 「JSH2009ガイドラインのリスク層別化を診療に利用しますか」という問いに対しては、「おおむね応用している」が12.4%、「一部応用している」が61.6%だったのに対し、「層別化は知っているが診療上考慮していない」が17.2%、「層別化は知らない」が13.5%だった。
 「現在の高血圧診療に満足していますか」という問いに対しては、「満足」8.1%、「おおむね満足」71.9%、「どちらとも言えない」12.5%、「やや不満」6.4%、「不満」1.1%だった。
 「不満」「やや不満」と答えた医師に対して理由を尋ねたところ、循環器・腎専門医、そのほかの診療科のいずれにおいても、「他のリスク因子のコントロール不十分」が20%以上と最も多く、そのほか、「随時血圧の降圧不十分」「家庭血圧の降圧不十分」などが多かった。
 「1日の食塩摂取量をどのくらいに指導していますか」という問いに対して、JSH2009で推奨されている「6g以下」と答えたのは25%に満たなかったのに対して、「指導しない」は約23%、「10g以下」16%、「7g以下」が約17%を占め、減塩の重要性に対する啓蒙や具体的指導の推進が必要であることが浮き彫りになった。
 甲斐氏は「高血圧のガイドラインは認知度が高く、80%以上の医師が実際の診療に使用していた。高血圧の診療については80%が満足しているが、他のリスクのコントロールや降圧不十分症例が問題とされていた。今後は、減塩指導について、目標摂取量などのさらなる周知徹底が必要だろう」との考えを述べた。

17.ダイエットで脂肪を減らしたければ十分な睡眠を
Ann Intern Med誌から
日経メディカル2010年10月21日

摂取カロリーを減らしてメタボ解消を狙う減量挑戦者は、睡眠時間を十分に確保しないと、体重は減っても脂肪は減らないという悲しい結果に終わる可能性がある。米Chicago大学のArlet V. Nedeltcheva氏らは、過体重または肥満の成人10人を対象にクロスオーバー試験を行い、摂取カロリーを同様に減らしても、睡眠時間8.5時間のグループに比べ、5.5時間に制限したグループでは脂肪の減りが悪く、空腹感も強いことを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2010年10月5日号に掲載された。
 肥満、過体重の人々が増え、その多くがダイエットに励んでいる。中高年の場合、その主な目的はメタボリック・シンドロームの解消にあり、少しでも効率の良いダイエット法を知りたいという要望は非常に強い。
 過去に行われたボランティアを対象とした研究で、摂取カロリーを抑えられた状態で睡眠時間が制限されると、空腹感が強まり、食欲増進ホルモンのグレリンの血中濃度が上昇、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの濃度は低下すること、一方、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランス(エネルギーバランス)が正、つまり摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態では、これらホルモンレベルに変化は見られないことが報告されていた。グレリンは空腹感を引き起こし、体脂肪の利用を抑制して脂肪組織の増大を招く作用を持つ。
 著者らは、ダイエット中に睡眠時間を制限した場合に体内に起こる変化を明らかにすべく、無作為化クロスオーバー試験を実施した。14日間摂取カロリーを減らし、睡眠時間を8.5時間または5.5時間に限定した場合の体重減少と、脂肪量の減少、その間の空腹感の強さ、そして、血中のレプチンとグレリン、コルチゾール、エピネフリン、ノルエピネフリン、甲状腺ホルモン、成長ホルモンなどの濃度を測定した。
 大学の臨床研究センターと睡眠研究室で、35~49歳でBMIが25~32、非喫煙者で自己申告による睡眠時間が1日に6.5~8.5時間の人々を12人登録。
 3カ月以上の間隔を空けて、すべての患者が睡眠時間5.5時間の14日間と8.5時間の14日間を経験した(間隔の平均は7カ月)。各試験期間は、中等度のカロリー制限を実施。摂取カロリーの合計を安静時のエネルギー代謝率の90%に制限し、朝食時(8時から9時まで)に25%、昼食時(12時半から13時半)に30%、夕食時(18時半から19時半)に35%、夜食(21時)に10%摂取するよう指示した。サプリメントとしてマルチビタミンとマルチミネラルを提供した。
 夜の睡眠時間は簡易型睡眠ポリグラフィ装置を使って毎晩記録することにより確認。昼寝は禁止した。
 試験期間中は二重標識水法を用いて消費カロリーを推定した。また、呼吸商を算出、食物商と体組成の変化から推定される体内水分量の変化も推定した。
 体脂肪量は二重X線吸収法により測定。空腹感は、患者自身が22時半にVASスケールを用いて毎日評価した。
主要評価指標は、脂肪の量の減少と除脂肪体重とし、2次評価指標は、エネルギー基質(糖質や脂質)の利用の変化、エネルギー消費、空腹感、メタボリックホルモン(代謝に影響を与えるホルモン:インスリン、グルカゴン、グルココルチコイド、甲状腺ホルモンなど)レベルの変化などに設定。
 クロスオーバー試験を完了したのは10人(男性が7人)。これらの患者の平均年齢は41歳、BMIの平均は27.4、ベースラインの睡眠時間は平均7.7時間だった。
 試験期間中の摂取エネルギーは、8.5時間群が1447kcal/日、5.5時間群が1450kcal/日だった。二重標識水法による消費エネルギーはそれぞれ2136kcal/日と2139kcal/日。14日間の試験終了時の体重減少はそれぞれ2.9kgと3.0kgで差はなかった(P=0.24)。
 睡眠時間短縮は脂肪の減少を抑制していた。8.5時間睡眠群は1.4kg減少、5.5kg群は0.6kg減少(P=0.043)。除脂肪体重の減少は1.5kgと2.4kg(P=0.002)で、5.5時間群で大きかった。体重減少に占める脂肪量の割合は56%と25%(P=0.004)だった。
 朝食から4時間後までの呼吸商を比較した。5.5時間群の呼吸商は8.5時間群より有意に大きかった。これは、5.5時間睡眠では脂肪の燃焼が少ないことを意味する。
 ベースラインと比べた空腹感は、8.5時間群が-0.1、5.5時間群が+0.7(P=0.043)だった。
 5.5時間群でグレリン濃度は高く(P=0.04)、エピネフリン濃度は低く(P=0.005)、安静時エネルギー代謝率も低かった(P=0.01)。
 レプチン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、甲状腺刺激ホルモンの濃度には有意な差は見られなかった。
 この試験の規模は小さく期間も短かったが、十分に睡眠をとらないと摂取カロリーを減らしても脂肪は減らず、メタボリスクは低下しない可能性が示された。効率良いダイエットを行いたいなら、一定期間睡眠時間が確保できるタイミングを見計らって開始した方がよさそうだ。
 原題は「Insufficient Sleep Undermines Dietary Efforts to Reduce Adiposity」

18.eGFR低値はその後の脳卒中リスクを予測する
BMJ誌から
日経メディカル2010年10月21日

推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満の患者は、その後の脳卒中リスクが43%高いことがメタ分析で明らかになった。米California大学Los Angeles校のMeng Lee氏らが、BMJ誌2010年10月9日号に報告した。
 eGFR低値が冠疾患と全死因死亡、心血管死亡に関係することは以前から示されていた。著者らは今回、ベースラインのeGRR値とその後の脳卒中との関係について調べる系統的レビューとメタ分析を行った。
 PubMed(1966年~2009年10月)とEmbase(1947年~2009年10月)から条件を満たす研究を選出。前向きにデータを収集したコホート研究または臨床試験の中から、ベースラインのeGFRと脳卒中罹患率が評価されていた研究で、追跡期間は1年以上、eGFRが60~90mL/分/1.73m2、または60mL/分/1.73m2未満と、脳卒中の関係を多変量解析していた研究を選んだ。
 33件の前向き研究に関する21件の報告が条件を満たした。研究の質は全体として高かった。14件はeGFRが60mL/分/1.73m2未満のみ、7件は60mL/分/1.73m2未満と60~90mL/分/1.73m2の両方について分析していた。
 対象人数は計28万4672人、追跡期間は3.2~15年だった。その間に脳卒中は7863件発生していた。
 脳卒中リスクは、eGFRが60mL/分/1.73m2未満のグループで有意に高かった。相対リスクは1.43(95%信頼区間1.31-1.57、P<0.001)。
 一方60~90mL/分/1.73m2のグループにはリスク上昇は認められなかった。相対リスクは1.07(0.98-1.17、P=0.15)。
 60mL/分/1.73m2未満の患者群には有意な不均質性が認められた(I2=69%、P<0.001)。60~90mL/分/1.73m2群の不均質性は有意ではなかった(I2=38%、P=0.06)。
 サブグループ解析を行った。集団のタイプ、試験設計、人種、追跡期間、登録患者数、脳卒中のタイプ、性別などで層別化しても、60mL/分/1.73m2未満の患者では脳卒中リスクの上昇が一貫して見られた。アジア人(1.96、1.73-2.23)は非アジア人(1.26、1.16-1.35)に比べ有意にハイリスクだった(P<0.001)。また、エンドポイントを致死的脳卒中にした場合には、相対リスクは1.97(1.63-2.38)、致死的脳卒中と非致死的脳卒中の両方をエンドポイントにすると1.38(1.26-1.51)だった。
 なお、eGFR 60mL/分/1.73m2未満の患者をさらに40~60mL/分/1.73m2と40mL/分/1.73m2未満に層別化すると、40~60mLのグループの相対リスクは1.28(1.04-1.56)、40mL未満では1.77(1.32-2.38)で(P<0.01)、eGFRが低いほど脳卒中リスクは高いことが示唆された。
 ベースラインのeGFRが60mL/分/1.73m2未満であることは、様々な人々においてその後の脳卒中の独立した危険因子だった。著者らは、ハイリスク者については、迅速かつ適切に血管リスク低減を行うことにより、脳卒中リスクを下げられる可能性があり、こうした介入は特にアジア人で有効かもしれない、と述べている。
 原題は「Low glomerular filtration rate and risk of stroke: meta-analysis」

19.2倍用量クロピドグレル、PCI施行ACS患者に対する有用性を確認
CareNet2010年10月21日


適応障害の不安

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された急性冠症候群(ACS)患者に対する抗血栓療法では、標準の2倍用量のクロピドグレルを7日間投与するレジメンが、標準用量に比べ、心血管イベントおよびステント血栓症の発生を有意に低減することが、カナダMcMaster大学(ハミルトン)のShamir R Mehta氏らが行った無作為化試験(CURRENT-OASIS 7試験)で示された。PCI施行例では、クロピドグレルとアスピリンの併用療法が最も頻用されているが、近年、ACSに対する早期PCI施行例の増加に伴い、より迅速な作用の発現とより高度な抗血栓作用を有するレジメンの開発が求められている。クロピドグレルの負荷用量を2倍に増量し、引き続き標準用量で維持療法を行うアプローチの有用性がいくつかの試験で示唆されているという。Lancet誌2010年10月9日号(オンライン版2010年9月1日号)掲載の報告。
2剤の2用量を評価する2×2ファクトリアル無作為化試験
CURRENT-OASIS 7の研究グループは、PCI施行例における重篤な冠動脈イベントおよびステント血栓症の予防のためのクロピドグレルおよびアスピリンの至適用量を検討する2×2ファクトリアルデザインの無作為化試験を行った。
2006年6月~2009年7月までに、39ヵ国597施設から早期PCIの適応とされたACS患者2万5,086例が登録された。これらの患者が、クロピドグレルを2倍用量(負荷用量/日:初日600mg、2~7日150mg、8~30日75mg、1万2,520例)あるいは標準用量(負荷用量/日:初日300mg、2~30日75mg、1万2,566例)投与する群に無作為に割り付けされ、引き続き各群がアスピリンを高用量(負荷用量/日:初日≧300mg、2~30日300~325mg)あるいは低用量(負荷用量/日:初日≧300mg、2~30日75~100mg)投与する群に無作為に割り付けられた。
クロピドグレルの比較は二重盲検下に行われ、アスピリンの比較はアウトカム評価のマスク下にオープンラベルで実施された。事前に規定された解析は実際にPCIを施行された1万7,263例(2倍/高用量群:4,298例、2倍/低用量群:4,262例、標準/高用量群:4,326例、標準/低用量群:4,377例)について行われた。
主要評価項目は、30日以内の心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発生とし、PCI施行の傾向性で補正の上、intention-to-treat解析が行われた。
クロピドグレル2倍用量群で主要評価項目の発生が14%低下
30日間のフォローアップを完遂したのは、クロピドグレルの2倍用量群8,560例中8,558例、標準用量群8,703例中8,702例で、アスピリンの高用量群8,624例中8,622例、低用量群8,639例中8,638例であった。
主要評価項目の発生率は、クロピドグレルの2倍用量群が3.9%(330/8,560例)と、標準用量群の4.5%(392/8,703例)に比べ有意に低下した(補正ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.74~0.99、p=0.039)。definiteに分類されるステント血栓症の発生率は、それぞれ0.7%(58/8,560例)、1.3%(111/8,703例)であり、2倍用量群で有意に減少した(同:0.54、0.39~0.74、p=0.0001)。
アスピリン高用量群における主要評価項目の発生率は4.1%(356/8,624例)、低用量群は4.2%(366/8,639例)であり、両群間に差を認めなかった(同:0.98、0.84~1.13、p=0.76)。
大出血の頻度は、クロピドグレル2倍用量群[1.6%(139/8,560例)]が標準用量群[1.1%(99/8,703例)]よりも有意に高かった(同:1.41、1.09~1.83、p=0.009)が、アスピリンの高用量群[1.5%(128/8,624例)]と低用量群[1.3%(110/8,639例)]では差はみられなかった(同:1.18、0.92~1.53、p=0.20)。
著者は、「PCI施行ACS患者では、クロピドグレルの7日間2倍用量投与により、心血管イベントおよびステント血栓症が標準用量投与に比べ低減したが、アスピリンの高用量と低用量量では差はなかった」と結論し、「早期の侵襲的治療戦略としてPCIの適応とされたACS患者の場合、すべての症例でクロピドグレル2倍用量レジメンを考慮してよい」と指摘している。

20.ショ糖は、痛みを伴う処置を受ける新生児の疼痛緩和に有効か
CareNet2010年10月21日

ショ糖の経口投与は、痛みを伴う処置を受けた新生児の脳および脊髄の侵害反射回路の反応に影響を及ぼさず、鎮痛薬としては有効ではないことが、イギリス・オックスフォード大学のRebeccah Slater氏らが行った無作為化試験で示唆された。多くの新生児が、繰り返し施行される侵襲的処置を受けるために入院するが、これらの処置による疼痛が神経発達に及ぼす短期的、長期的な有害作用のエビデンスが蓄積されている。ショ糖の行動的および生理的な疼痛スコアの改善効果を根拠に、新生児の処置痛の軽減にその経口投与が推奨されているが、これらの疼痛スコアの改善は必ずしも新生児の疼痛除去に関連しない可能性があるという。Lancet誌2010年10月9日号(オンライン版2010年9月1日号)掲載の報告。
ショ糖と滅菌水で、脳、脊髄の疼痛反応を比較
研究グループは、新生児に対する痛みを伴う処置がもたらす脳および脊髄の疼痛反応を、ショ糖の経口投与が軽減するか否かを検討する二重盲検無作為化対照比較試験を行った。
2009年2月~2010年3月までに、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ病院で誕生した新生児59人が登録された。これらの新生児が、痛みを伴う処置として、臨床的に必要とされる血液サンプルの採取を目的に踵を穿刺された。
この処置に先立ち、新生児は、24%ショ糖液0.5mLあるいは滅菌水0.5mLを1mL注射器で舌前面に直接に滴下する群のいずれかに無作為に割り付けられた。研究者、担当医、両親には投与された溶液の情報は知らされなかった。
主要評価項目は、1回の穿刺で引き起こされた脳の疼痛反応(脳波検査のデータを記録し、主成分分析で判定)とし、副次評価項目は行動的(顔の表情の変化など)、生理的(脳波、パルス酸素濃度測定など)指標や観察的疼痛スコア[新生児の疼痛評価の指標である未熟児疼痛プロファイル(PIPP)]による評価、および脊髄侵害反射離脱反応とした。
観察的疼痛スコアは改善したが、脳、脊髄の疼痛反応に差はない
ショ糖群に29人が、滅菌水群は30人の新生児が割り付けられ、主要評価項目の解析はそれぞれ20人、24人で可能であった。
穿刺後の脳の疼痛反応の平均値は、ショ糖群が0.10(95%信頼区間:0.04~0.16)、滅菌水群は0.08(同:0.04~0.12)であり、両群間に差を認めなかった(p=0.46)。刺激を受けた足の大腿二頭筋から得られた脊髄侵害反射離脱の程度および反応潜時には、両群間で有意な差はみられなかった。
平均PIPPスコアは、ショ糖群が5.8(95%信頼区間:3.7~7.8)と、滅菌水群の8.5(同:7.3~9.8)に比べ有意に低く(p=0.02)、投与後に表情の変化がみられない新生児の割合もショ糖群で多かった[35%(7/20人)vs. 0%(0/24人)、p<0.0001]。
著者は、「これらのデータは、ショ糖の経口投与は新生児の脳および脊髄の侵害反射回路の反応には影響を及ぼさないことを示唆するため、鎮痛薬としては有効でない可能性がある」と結論し、「ショ糖の投与により、痛みを伴う処置後の新生児の臨床的な観察的疼痛スコアが改善されても、それを疼痛の除去と解釈すべきではない」と指摘する。

21.Study points to possible gene therapy for depression
Reuters2010年10月21日

Researchers have identified a gene that can cause symptoms of major depression and said it may be possible to use gene therapy to counteract its effects.
They have been testing a similar gene therapy technique in the brains of patients with Parkinson's disease and may be able to quickly adapt it to depression, Michael Kaplitt of Cornell Medical College and colleagues reported Wednesday.
"We potentially have a novel therapy to target what we now believe is one root cause of human depression," Kaplitt, a neurosurgeon, said in a statement.
Depression affects about 121 million people worldwide, according to the World Health Organization, and is diagnosed in at least 13 million U.S. adults each year. It is the main factor in suicide and at least 27 million Americans take antidepressant drugs.
The causes are complex and different patients respond to different treatments.
Kaplitt's team looked at the activity of a gene called p11 in a part of the brain called the nucleus accumbens.
"This is the center of the brain for reward satisfaction," Kaplitt said in a telephone interview.
"One of the major problems in depression is what is called anhedonia -- an inability to be able to be satisfied or happy or content with normally pleasurable activities in life."
The p11 gene helps regulate signaling of serotonin, a brain chemical tied to mood, sleep and memory. Many antidepressants target serotonin.
The research team used mice that lacked active p11 and acted depressed.
DEPRESSED MICE
"If you hold a mouse up by its tail, it tends to fight to get away. A mouse showing depressive behavior will just lie there," Kaplitt said.
Kaplitt's team has been testing gene therapy for another brain disease, Parkinson's, in people. They used the same vector -- the virus used to carry the new gene into the body -- to make a gene therapy replacement for p11.
It transformed the behavior of the depressed mice, they reported in the journal Science Translational Medicine. But taking out a gene and then replacing it in mice does not prove that gene causes human symptoms, or that boosting its production would alter human depression.
So they looked at brain samples taken from people with depression who had died and compared them to samples from people without depression.
Levels of p11 in the nucleus accumbens region -- the reward center -- were significantly lower in the depressed patients, they found.
Gene therapy for depression is a long way from being tested in people, Kaplitt noted, although he said the Parkinson's trials show it could be safe.
Gene therapy -- replacing or boosting the activity of a faulty gene to correct disease -- is still considered highly experimental, although there has been some success in treating forms of blindness and immune deficiency.
"One of the next key steps is to try and test this in non-human primates," he said. He said his team was collaborating with a team at the National Institute of Mental Health, one of the National Institutes of Health, to test the idea in monkeys.
The study was paid for by the U.S. and Swedish governments as well as private foundations, but Kaplitt has founded a company called Neurologix Inc, which has licensed intellectual property rights to p11 gene therapy for behavioral disorders.

22.FDA Calls for New Warnings on Some Prostate Cancer Drugs
Hormonal meds linked to slight increase in risk of heart disease, diabetes
HealthDay News2010年10月20日

The U.S. Food and Drug Administration on Wednesday called for new warnings on the labels of widely used hormonal prostate cancer drugs because of evidence of a slight increased risk of heart disease and diabetes in the men who take them.
The FDA first announced in May that it was reviewing the prostate cancer drugs known as gonadotropin-releasing hormone (GnRH) agonists, citing this possible increased risk. These medications suppress the production of testosterone, a hormone that can spur the growth of prostate cancer. The drugs include Eligard, Lupron, Synarel, Trelstar, Vantas, Viadur, Zoladex and several generic products.
Hormone-based therapy is not a cure for prostate cancer, because tumors can eventually become resistant to the therapy. However, the therapy can extend survival.
So, should the new label warnings deter men from enrolling on hormone-based treatment? Experts say the cardiovascular risk is something to consider, but the therapy does have real benefits.
"Clearly these drugs are needed for the treatment of prostate cancer," Dr. Mark Soloway, chair of urology at the University of Miami Miller School of Medicine, stressed in May.
"Lowering the male hormone is by far the most effective treatment," he said, but at the same time "there should be more judgment in prescribing GnRH agonists."
Soloway believes that any increased risk for heart disease and diabetes would be due to a lowering of testosterone. "At this point, it makes sense to use hormone therapy when necessary, but not for everyone that has prostate cancer," he said.
Another expert, Dr. Nelson Neal Stone, a clinical professor of urology and radiation oncology at Mount Sinai School of Medicine in New York City, agreed that, "there is evidence that low testosterone can induce metabolic syndrome," which in turn raises men's risk for diabetes and heart attack.
Speaking after the FDA's announcement earlier this spring, Stone said studies have shown that men with advanced prostate cancer who take hormone therapy face a twofold increased risk of developing metabolic syndrome, a cluster of symptoms tied to the development of heart disease.
"When I speak to patients who have to go on these agents, I counsel them about the risks of increased weight gain and I tell them they need to monitor their carbohydrate intake and increase their amount of exercise, and they can decrease the risk of developing metabolic syndrome," he said.
Patients with prostate cancer typically do have some treatment choices. After initial treatment for prostate cancer, whether by surgery or radiation, doctors usually track blood levels of disease-linked prostate-specific antigen (PSA) over time. Based on that, one can initiate hormone therapy, Soloway said, or simply wait and monitor the patient.
"There is further evidence that you should not begin hormone treatment until such time when there is more compelling reason than just a slight rise in PSA," Soloway said. "There are hundreds and hundreds of thousands of such patients."
Soloway believes that many men across the United States are unnecessarily taking hormone therapy for prostate tumors that have not yet spread. "I think hormone therapy can be delayed for months to years in some of these men," he said.
For men with more advanced metastatic prostate cancer, hormone therapy can be used for several months until the PSA goes down, at which point the therapy can be stopped, Soloway said. "If you stop it for the time it takes for the PSA to rise again, that could be many months to a couple or more years," he said.
Men taking hormone therapy need to understand that, as with any drug treatment, there are some risks, Soloway said. But heart disease is largely preventable, and he believes that GnRH agonists might boost heart risks because they cause men to pile on extra pounds.
So, "you want to do what you can to decrease your chance of diabetes, cardiovascular disease. This has to do with diet, keeping your weight down," Soloway said.
For Stone, the toughest part is striking a balance between cancer risk and risks from the number one killer of men, heart disease. "It doesn't make much sense to try and treat their prostate cancer and prevent them from dying from prostate cancer if we are going to increase their risk of then dying from heart disease," he reasoned.
Once patients understand that, Stone hopes they will be motivated to watch their diet and exercise.
In the meantime, men should not stop taking their hormone therapy, but do everything they can to reduce their risk of developing cardiovascular disease and diabetes with lifestyle changes, he said.
"There is always a price you pay for medications," Stone said. "But if we're aware of the consequences of taking the medication, then we can deal with that."
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For more information on prostate cancer, visit the American Cancer Society.

23.Home Monitoring of Blood-Thinner Use Appears Effective
Home tests show promise for patients taking warfarin, study finds
HealthDay News2010年10月20日


If you're taking the blood-thinning medication warfarin, a new study suggests that you might not always need to visit the doctor to get your medication levels checked.
The study, which is published in the Oct. 21 issue of the New England Journal of Medicine, found that weekly home tests were similarly effective to monthly clinic testing for patients taking warfarin therapy.
The study compared clinic-based testing to home testing for about 3,000 patients taking the anticoagulant drug, explained one of the study's authors, Dr. Rowena Dolor, an assistant professor in the division of internal medicine at Duke University Medical Center, and a staff physician at the Veterans Affairs Medical Center in Durham, N.C. "While the study showed no difference in long-term outcomes, those on home testing spent more time in the target range for medication levels," she said.
Blood-thinning drugs such as warfarin, also known as anticoagulation therapy, are prescribed to help keep the blood from clotting excessively, as this can cause ischemic strokes or heart attacks. However, too much of these medications can also cause problems, such as serious internal bleeding or a hemorrhagic (bleeding) stroke.
The reason it's so hard to find the right balance is that many factors affect the way these medications are utilized in the body. Everyone needs an individualized dose -- the foods you eat and other drugs can change the effectiveness of the blood-thinning medication, said Dr. Marc Siegel, an internist at the NYU Langone Medical Center in New York City.
To avoid these complications, people on these medications have to have their blood frequently monitored, especially when first starting therapy. Until recently, this meant a visit to the doctor's office.
But now, several devices are available for home testing. The cost of the devices averages around $2,000, according to Dolor, and the supplies for each test cost about $5 to $10. In 2002, Medicare approved coverage for home testing for patients on anticoagulation therapy with prosthetic heart valves, and in 2008, it expanded the availability of home testing to those who need long-term anticoagulation therapy, such as people with the heart condition atrial fibrillation.
In the current study, the researchers randomly assigned 2,922 people who were taking warfarin because they had a mechanical heart valve or had atrial fibrillation to either test weekly at home or monthly in a clinic.
The patients used finger-stick devices approved by the U.S. Food and Drug Administration for home use. They were trained to use the devices, which measure how fast the blood clots, and the results were phoned in to a physician's office to discuss changing the medication dose as needed.
The study volunteers were then followed for between two and 4.75 years, according to the study.
A total of 164,626 home tests were performed, and about 87 percent of the study volunteers adhered to their home testing routine.
Over the study period, 271 people in the home-testing group had a stroke, a major bleeding event or died, compared to 285 in the clinic-tested group. The self-testing group reported significantly more minor bleeding episodes, but it had a small, but statistically significant improvement in the time patients spent in the target range for the medication.
The home-test group also reported slightly higher patient satisfaction scores, according to the study.
Dolor said the researchers didn't design the study to figure out why the home-test group might be more satisfied, but suggested that the convenience of home testing and not having to go out to the doctor's office likely play a role. She said that patients may also feel more in control, and may feel that they have a better understanding of their condition.
"More frequent monitoring is much safer and ideal. If the technical accuracy of home monitoring is the same, and we can be assured that the patient is using home monitoring properly, then I don't have a problem with it," said Siegel.
Although the current study didn't find a significant difference in preventing serious outcomes, Dr. L. Bernardo Menajovsky, director of the anticoagulation clinic at the Scott and White Healthcare Center for Diagnostic Medicine in Temple, Texas, noted that a significant number of healthier people were enrolled in it.
"About 40 percent of the study population were at low risk to have bad outcomes," he said, adding that if the researchers had been able to look at more people in a high-risk group, they may have seen an improvement with the more frequent home monitoring.
But, "home testing alone isn't going to be the answer [for improving complications]. We need good patient education, and after that, the next step is home management," he said, explaining that people could be trained to test themselves and then make adjustments to their medication doses, similar to the way diabetes is managed.
The study was sponsored by the VA's Cooperative Studies Program.
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To learn more about blood thinners, visit the Agency for Healthcare Research and Quality.

24.Can Coffee, Tea Lower Brain Cancer Risk?
International study found evidence that daily consumption may cut chances of developing gliomas by up to 34 percent
HealthDay News2010年10月20日

Researchers have discovered that coffee and tea might do more than boost your energy levels: Regular consumption of the world's two most popular beverages may also shield you against a form of brain cancer.
In fact, the latest research suggests that those who drink as little as a half cup or so of coffee per day may lower brain cancer risk by as much as 34 percent.
Lead researcher Dominique S. Michaud, of Brown University's department of community health in Providence, heads an international team that reports the finding in the November issue of the American Journal of Clinical Nutrition.
The notion that coffee and tea might accrue an anti-cancer health benefit to regular drinkers builds on previous research that has indicated that the beverages may also lower the risk for both Alzheimer's and Parkinson's disease.
The current effort explored the possibility that coffee and tea may also protect against brain cancer, specifically in the form of glioma, a cancer of the central nervous system that originates in the brain and/or spinal cord.
Data concerning the dietary habits of more than 410,000 men and women between the ages of 25 and 70 was drawn from the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study, which included participants from France, the Netherlands, Italy, Spain, Great Britain, Greece, Denmark, Norway, Sweden and Germany.
Participants were recruited between 1991 and 2000, and were tracked over the course of about 8.5 years. During that time, food surveys were completed to gauge, among other things, the amount of tea and coffee each participant consumed.
During the study, 343 new cases of glioma were diagnosed, as were 245 new cases of meningioma, another cancer that affects tissue surrounding the brain and spinal cord.
Decaffeinated coffee consumption was found to be very low overall, while regular coffee and tea drinking patterns varied greatly from country to country. For example, while the Danish (the biggest consumers of coffee) drank on average nearly 3.5 cups per day, Italians (the lowest consumers) averaged less than a half-cup daily. Tea consumption was highest in Great Britain, and lowest in Spain.
By stacking drinking patterns against brain cancer incidence, the research team found that drinking 100 mL (or 0.4 cups) per day and above lowered the risk of gliomas by 34 percent.
The protective effect appears to be slightly stronger among men, the authors observed, and seems to apply solely to gliomas.
Dr. Jonathan Friedman, director of the Texas Brain and Spine Institute at Texas A&M Health Science Center College of Medicine in Bryan, described the findings as "surprising."
"However, the mechanism by which coffee is protective is completely unknown," he cautioned. "While the caffeine itself might be important, some of the other common components of coffee or tea might also be relevant, such as natural antioxidants," he noted.
"Additional studies will be required to confirm these findings," he stressed, "and to identify the basis for the correlation."
Dr. John S. Yu, director of the Brain Tumor Center of Excellence at Cedars-Sinai Medical Center in Los Angeles, said the finding was "striking."
"If we had a drug for any disease that could demonstrate a risk reduction of 34 percent, that would be considered a great drug. That degree of risk reduction is very strong," he said.
"And as for the specific protective impact of caffeine, this finding follows other recent research that demonstrated that coffee drinking is associated with a lower risk for breast cancer as well," Yu noted. "But even taken together, it has not yet been established whether or not this is directly causative -- [in other words, whether] drinking caffeine directly reduces disease risk -- or whether this is actually about an association between other factors concerning the type of people who drink a certain amount of coffee and risk reduction. More research is needed to figure that out."
More information
For more on brain cancer, visit the U.S. National Library of Medicine.

25.プレスリリース

1) FDA: Include warnings on risk for class of prostate cancer drugs

The U.S. Food and Drug Administration today asked manufacturers to add new warnings to labeling of gonadotropin-releasing hormone (GnRH) agonists, a class of drugs primarily used to treat men with prostate cancer.
The warnings would alert patients and their health care professionals to the potential risk of heart disease and diabetes in men treated with these medications.
In May, the FDA said that a preliminary and ongoing analysis found that patients receiving GnRH agonists were at a small increased risk for diabetes, heart attack, stroke, and sudden death. The new labels will include updates in the Warnings and Precautions section about these potential risks.
Prostate cancer is the second most common type of cancer among men in the United States, behind skin cancer, and usually occurs in older men. This year an estimated 217,730 new cases of prostate cancer will be diagnosed and about 32,050 men will die from the disease, according to the Centers for Disease Control National Center for Health Statistics and the National Cancer Institute.
GnRH agonists are drugs that suppress the production of testosterone, a hormone involved in the growth of prostate cancer. This type of treatment is called androgen deprivation therapy, or ADT. Suppressing testosterone has been shown to shrink or slow the growth of prostate cancer.
GnRH agnoists are marketed under the brand names: Eligard, Lupron, Synarel, Trelstar, Vantas, Viadur, and Zoladex. Several generic products are available.
For more information:
Updated Drug Safety Communication: Ongoing Safety Review of GnRH Agonists and Possible Increased Risk of Diabetes and Certain Cardiovascular Diseases

2) 脳活動計測で「指先の動きをPC上に正確に再現する」技術開発に成功

脳活動計測で「指先の動きをPC上に正確に再現する」技術開発に成功
 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)バイオICTグループの今水 寛グループリーダーと国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」、社長:平田 康夫)脳情報解析研究所の佐藤雅昭所長らは、人間の脳活動情報から四肢の運動を再構成する技術として、外科的処置なしに計測した脳活動を用いて、指先の素早い運動(運動時間約0.4秒)を滑らかな動きでコンピュータ上に再構成することに成功しました。この研究は、ユーザに特別な訓練や身体的負担を要求することなく、普段通り指を動かしているときの自然な脳活動から、この運動に関係する脳情報を効率的に読み出すことにより、自然で滑らかな運動を高い精度で再構成できることを世界で初めて示したものです。脳活動による機械制御技術� �BMI技術(*1))を、医療応用だけではなく、情報通信におけるユーザインターフェィスとして広く一般に使うための道を拓いたものです。研究成果は本研究分野の権威ある国際誌NeuroImage(IF=7.168)に掲載されます。なお、本研究の一部はNICT委託研究「複数モダリティー統合による脳活動計測技術の研究開発」により、ATR脳情報解析研究所が実施したものです。 
【背景】
 四肢を動かすための脳活動を使って、ユーザの運動(四肢の運動)をコンピュータやロボットなどの機械で再構成する技術は、ブレイン-マシン・インターフェィス(BMI(*1))の基礎技術として注目されてきました。この技術は、重度の運動機能障害を持つ患者の脳に直接電極を挿すなどの外科的措置を伴う侵襲的な方法が知られていますが、手術の必要性や装着後のウィルス感染の危険性がありました。そこで、近年では脳を傷つけずに計測(非侵襲計測)した脳活動を利用する研究が盛んになってきています。この非侵襲計測法を用いたBMI研究としては、脳波計測を用いた技術が知られています。しかし、この技術では信号処理しやすい脳波パターンを生じさせるように、ユーザに長期間の訓練を強いる必要がありま� �た。脳の情報を効率的に読み出すことで、ユーザの負担となる訓練を必要とせずに、自然な脳活動から素早い四肢の運動を、そのまま滑らかに再構成する技術の開発が求められてきました。
【今回の成果】
 本研究では、ユーザがさまざまな方向に指先を素早く動かしているとき(0.4秒ほどで一つの動作が完了する動き)の脳活動から、指先がどこにあるかを0.02秒の時間間隔で再構成することに成功しました。NICTバイオICTグループ・グループリーダーの今水寛と長岡技術科学大学の戸田明祐氏は、高い時間分解能で脳活動を計測することが可能な脳磁図(*2)(MEG)を用いて、指先の速い運動に関連する脳活動を計測しました。しかし、MEGだけでは、脳のどこが活動しているのかを正確に知ることは難しいので、優れた空間解像度で脳活動を計測できる機能的磁気共鳴画像(fMRI(*3))も利用しました。同じ運動を行なったときの脳活動をfMRIによってあらかじめ計測しておき、活動部位の位置� �報を獲得しておきます。次に、ATR脳情報解析研究所の佐藤所長らが開発した「階層変分ベイズ法(*4)」を用い、fMRIデータが示す位置情報を参照しながら、MEG計測信号を処理することで、数ミリメートルの空間解像度で、脳の表面上の電流信号(皮質電流)に変換しました。さらに、この方法で変換した皮質電流から、指先の運動に関連する信号を「スパース推定法(*5)」を用いて効率的に抽出することで、高い精度で運動を再構成することができるようになりました。訓練を必要としない自然な脳活動で、無数のパターンの素早い指先の運動を、そのまま滑らかに再構成することに成功したのです。
この研究成果は本研究分野の権威ある国際誌NeuroImage(IF=7.168)に掲載予定です。校正済み原稿はScience Direct社のウェブサイト( 
【今後の展望】 
 従来の非侵襲BMI技術に比べて、ユーザの速い動きを滑らかに再構成することができたことで、ユーザが「自分自身が操作している」という主体感・操作感をBMI技術に付加することができるようになります。本研究では、脳活動をオフラインで解析・再構成しましたが、今後はリアルタイムで運動を再構成することに取り組んでいきます。また、本研究で開発した手法を大型計測装置に代えて、より軽量で持ち運びのできる計測装置(具体的には、MEGの代わりに脳波記録装置、fMRIの代わりに近赤外光計測装置)に利用することで、より実用に近いBMI技術の開発を進めます。
 注:本研究は、情報通信研究機構、国際電気通信基礎技術研究所、長岡技術科学大学との共同研究。また本研究の一部は、情報通信研究機構の委託研究「複数モダリティー統合による脳活動計測技術の研究開発」により実施。
◆今回の成果(用語解説・図説)

3) 脳血管内皮細胞特異的なアミロイドβ前駆体タンパク質を発見
-アルツハイマー病関連のアミロイドβ蓄積機構に新たな可能性-

◇ポイント◇
ヒト脳血管内皮細胞が、アミロイドβ前駆体タンパク質770(APP770)を発現
APP切断産物はニューロン型か脳血管内皮型か判別可能
ヒト脳脊髄液中に見いだしたAPP770切断産物は、脳疾患マーカーの候補に
◆プレスリリース本文

4) 「ダビガトラン エテキシラート」を非弁膜症性心房細動患者の脳卒中発症リスク抑制の適応で承認


米国食品医薬品局(FDA)が新規経口直接トロンビン阻害剤ダビガトラン エテキシラートを非弁膜症性心房細動患者の脳卒中発症抑制の適応で承認
-心房細動患者の脳卒中発症抑制治療の革新-
-米国でこの50年に初めて新たに承認された新世代の経口抗凝固薬-
 2010年10月20日 ドイツ/インゲルハイム
 米国食品医薬品局(FDA)はこのほど、ベーリンガーインゲルハイムが開発した新規経口直接トロンビン阻害剤(2)ダビガトラン エテキシラート(以降ダビガトランと記載)(1)を、非弁膜症性心房細動患者の脳卒中発症リスク抑制の適応で承認しました。米国において過去50年以上で初めて新たに承認された経口抗凝固薬となります。通常は150mg 1日2回投与を幅広い患者に、まれに高度な腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:15~30mL/min)を持つ患者に対しては75mg 1日2回投与を用法・用量として用いることができます。
 承認の根拠となったRE-LYR試験は、心房細動患者の脳卒中発症抑制を検討した試験として現在までに完了している中で最大規模のものであり、心房細動患者の脳卒中発症抑制治療について革新的な知見をもたらしました。RE-LYR試験でダビガトラン150mg 1日2回投与群は、心房細動患者での脳卒中および全身性塞栓症の発症を、長年にわたり標準治療とされてきたワルファリンに対して有意に35%低減させ、また生命を脅かす出血および頭蓋内出血が有意に低いことを示しました(3)。ワルファリンに比して優れた効果を示したことに加えて、この試験は、ダビガトランがINR(プロトロンビン国際標準比)のモニタリングとそれに応じた用量調整を必要としないこと、食物の影響を受けないこと、心房細� �患者に投与されることの多いほとんどの併用薬との相互作用による用量調整を必要としないことを示したものでもあります。
 心房細動患者における脳卒中発症抑制にパラダイムシフトを起こすであろう、この新たな治療薬をこの適応症で最初に使用できるようになるのは米国の医師と患者になります。
 ダビガトランはRE-LYR試験で、ワルファリンを対照に次の効果を示しました(3):
 ・ダビガトラン 150mg 1日2回投与群で脳卒中および全身性塞栓症の発症リスクの有意な低下-出血性脳卒中を含む
 ・ダビガトラン 110mg 1日2回投与群で大出血の発現の有意な低下
 ・両投与量群ともに生命を脅かす出血および頭蓋内出血の有意な低下
 ・ダビガトラン 150mg 1日2回投与群で血管死の有意な減少
 RE-LYR試験の共同治験調整医師を務めた、マクマスター大学(カナダ/オンタリオ州ハミルトン)循環器部門長、そしてポピュレーションヘルスリサーチインスティチュートのメンバーでもあるスチュワート・コノリー医師は、「ワルファリンは長年にわたり心房細動患者における脳卒中予防の標準薬でした。しかしながら、他の多くの薬剤との相互作用、食事の影響に加え、治療域にコントロールするための継続的なモニタリングの必要がありました。血液凝固能の定期的な検査は治療上の負荷となり、治療域に維持することは容易ではありませんでした。有効で柔軟、且つ、簡便な投与を可能とする新たな治療選択肢としてダビガトランが承認されたことは、米国で、従来の治療で忍容性に問題がある、あるいはワルファリ� �の投与を受け入れない、または現在の治療で適切にコントロールされていない数多くの患者にとって大変意義のあることとなるでしょう」と、コメントを寄せています。
 現在の心房細動患者の脳卒中抑制に用いられているビタミンK拮抗薬(ワルファリン)は、適切に治療域にコントロールされている場合、脳卒中の発症リスクを概ね3分の2程度低減させる高い有効性を示します(4)。しかし出血リスクを高めるほか、薬物や食物との相互作用、頻回のモニタリングの必要があるなどいくつかの制限があります。そのため、本来ビタミンK拮抗薬で治療を受けるべき患者の50%程度しか投与を受けておらず(5)、また投与されても治療域にコントロールされている患者はその半数に及びません(6)。
 ベーリンガーインゲルハイム取締役会会長で医薬研究開発担当取締役であるProf アンドレアス・バーナーは、「米国においてダビガトランが、心房細動患者の脳卒中発症リスク抑制の適応で最初に承認されたことは、心房細動患者の脳卒中予防治療に新時代をもたらす画期的なことです。ベーリンガーインゲルハイムの125年の歴史に刻まれる重要な出来事です。革新的な治療の開発を通じて高い医療ニーズに対応するなど、当社がそのビジョンである"革新による価値のクリエーション(Value through Innovation)"に取り組んでいることを示す好事例です。新たな治療が数多くの患者の方々の脳卒中を予防し、生活をより良いものとすると期待します。ダビガトランが、来るこの何ヵ月間かの� �ちに世界中、米国に続き数多くの国々で、心房細動患者に投与される治療薬として承認されていくことを期待しています」と、見解を述べました。
 心房細動は最も頻繁にみられる不整脈で、全人口の約1%、80歳以上では10%に上る人々が罹患しています(7)。心房細動患者は血栓リスクが高く、脳卒中リスクは5倍に上昇します(8,9)。世界で毎年、最大300万人が、重篤になる傾向があり、後遺症を残すのみならず、発症した患者の半数は1年以内に死亡するとされる(13)、心房細動に起因する脳卒中を発症しています(10-12)。
 なお日本でダビガトランは、現在、心房細動患者の脳卒中発症抑制の適応で、承認を申請中です。
◆詳細資料

5) 肝細胞がん再発抑制剤「ペレチノイン(開発コード:NIK-333)」の臨床薬理試験のデータを第61 回米国肝臓学会議で発表

興和株式会社(本社:名古屋市中区、代表取締役社長:三輪弘、以下「興和」)は、2010年10月29日~11月2日に米国 ボストンで開催される「第61回米国肝臓学会議(The 61st AnnualMeeting of the American Association for the Study of Liver Diseases)、以下『AASLD2010』」のポスターセッションにおいて、国内で開発を進めてまいりました肝細胞がん再発抑制剤「一般名:ペレチノイン(開発コード:NIK-333)」の臨床薬理試験の結果を発表することをお知らせいたします。
◆プレスリリース本文



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