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1.高齢者医療新制度、保険料8万5000円 厚労省、75歳以上で試算
2.【11年の世界医薬品市場】市場規模は8800億ドルに
3.指先の細かな動き、脳活動から再現 訓練不要、「考えるだけでロボット操作」に一歩
4.病棟看護システムを802.11n無線LANで構築/長野・相澤病院
5.インスリン 分泌メカニズム解明 岡崎の研究所
6.シークヮーサー:果皮成分 ATL抑制
7.妊娠初期の「花粉」が、子どものアレルギーと関連 フィンランド研究
8.腰痛防止へ「腰みがき」 日ごろの運動と姿勢が大事
9.[解説]米でES細胞の臨床試験開始
10.神戸薬科大、ヒト体内にビタミンK2合成酵素発見、K1と反応し変換
11.アンジェスMG、次世代デコイが腹部大動脈瘤に有効
12.テルモ、人工肺に新膜素材採用の経皮的心肺補助システム発売
13.科学的根拠なし、『コレステロール高い方が長生き』ガイドラインに反対声明
14.2011年春の花粉飛散は昨年の2~10倍
15.JRC(日本版)ガイドライン2010が公表
16.医師の8割がJSH2009を診療に使用。今後の課題は減塩
17.ダイエットで脂肪を減らしたければ十分な睡眠を
18.eGFR低値はその後の脳卒中リスクを予測する
19.2倍用量クロピドグレル、PCI施行ACS患者に対する有用性を確認
20.ショ糖は、痛みを伴う処置を受ける新生児の疼痛緩和に有効か
21.Study points to possible gene therapy for depression
22.FDA Calls for New Warnings on Some Prostate Cancer Drugs
23.Home Monitoring of Blood-Thinner Use Appears Effective
24.Can Coffee, Tea Lower Brain Cancer Risk?
25.プレスリリース
1) FDA: Include warnings on risk for class of prostate cancer drugs
2) 脳活動計測で「指先の動きをPC上に正確に再現する」技術開発に成功
3) 脳血管内皮細胞特異的なアミロイドβ前駆体タンパク質を発見
4) 「ダビガトラン エテキシラート」を非弁膜症性心房細動患者の脳卒中発症リスク抑制の適応で承認
5) 肝細胞がん再発抑制剤「ペレチノイン(開発コード:NIK-333)」の臨床薬理試験のデータを第61 回米国肝臓学会議で発表
****************************************1.高齢者医療新制度、保険料8万5000円 厚労省、75歳以上で試算
日本経済新聞社2010年10月21日
厚生労働省は20日、2013年度に導入する新しい高齢者医療制度について、75歳以上の平均保険料の試算をまとめた。現在の平均保険料は年6万3000円だが、新制度を導入後の20年度には8万5000円まで増える。ただ、これは現行制度を続けた場合よりも2000円低くなる計算。厚労省は税金や現役世代の負担を増やして高齢者の負担を抑える。
厚労省は25日に開く「高齢者医療制度改革会議」にこの試算を示す。試算の対象となったのは13年度に市町村が運営する国民健康保険(国保)に移る約1200万人。新制度では高齢者の保険料の伸び率を現役世代並みに抑える。こうした影響で25年度の平均保険料は9万5000円と現行制度を続ける場合よりも6000円低くなる。
高齢者の負担が実質的に減る分、税金と現役世代の負担は膨らむ見通しだ。具体的には、現在は75歳以上の医療給付費の47%を税金で負担しているが、この割合を50%に高めて700億円を新たに投入する。
さらに高齢者医療向けの支援金を年収水準の高い健康保険ほど多く出す仕組みをとる。13年度は大企業の会社員らが加入する健康保険組合は200億円、公務員の共済組合は600億円の負担増になる。一方で国保と中小企業の会社員らが入る協会けんぽはそれぞれ600億円ずつ負担減となる。
2.【11年の世界医薬品市場】市場規模は8800億ドルに
‐中国が世界第3位に浮上
薬事日報社2010年10月21日
米市場調査会社のIMSヘルスは、2011年の世界医薬品市場の成長率は5~7%、市場規模は8800億ドルに達するとの予測を発表した。先進国市場は特許切れの影響などで一桁成長にとどまるものの、新興国市場が二桁成長で牽引し、世界市場の約半分を占めると分析。特に中国の成長率は25~27%と大幅な伸びを示し、世界第3位の市場になると見通した。
同社は、10年の医薬品市場の成長率4~5%に対し、11年は5~7%と回復傾向を予測。ただ、先進国市場で主力品の特許切れや医療費抑制政策など、成長抑制要因が強まると指摘し、最大市場の米国は3~5%、欧州主要5カ国は1~3%、日本は薬価改定の影響が少ないことから5~7%と一桁成長にとどまると見通した。
一方、新興国17カ国の成長率は15~17%、市場規模は1700~1800億ドルと、世界市場の約半分を占めると分析。特に中国の成長率は25~27%と高い伸びを示し、市場規模は約500億ドルに達して、世界第3位の市場になると予測した。
また、11年にはスペシャリティー製品中心の新薬が導入され、主要な疾患領域でアンメットニーズを満たす大幅な治療パラダイムの転換が起こると分析。脳卒中予防、黒色腫、多発性硬化症、乳癌、C型肝炎などの分野に革新的新薬がもたらされるとし、11年末までに、売上高10億ドルを超えるブロックバスターの可能性のある5製品が世界的に承認、上市されると予想している。
3.指先の細かな動き、脳活動から再現 訓練不要、「考えるだけでロボット操作」に一歩
ITMedia News2010年10月21日
NICTとACRは、脳活動を計測し、指先の素早い運動をなめらかな動きでPCディスプレイ上に再現することに成功。ロボットの遠隔操作や遠隔医療などに応用できる技術として研究を進める。
情報通信研究機構(NICT)と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は10月20日、脳活動を計測し、指先の素早い運動をなめらかな動きでPCディスプレイ上に再現することに成功したと発表した。ロボットの遠隔操作や遠隔医療などに応用できる技術として研究を進める。
ユーザーがさまざまな方向に指先を素早く動かしている時の脳活動から、指先がどこにあるかを0.02秒の時間間隔で再構成することに成功。脳磁図(MEG)と機能的磁気共鳴画像(fMRI)を組み合わせ、脳のどの場所が活動しているかを、高速に計測できるようにした。
脳波を計測して四肢の動きをコンピュータやロボットに再現する技術はこれまでにもあったが、信号処理しやすい脳波パターンを生じさせるよう、ユーザが長期間にわたって訓練する必要があったという。新技術では、脳の情報を効率的に読み出すことで、訓練不要で自然な四肢の動きを再構成できるのが特徴としている。
4.病棟看護システムを802.11n無線LANで構築/長野・相澤病院
ZDNet Japan2010年10月21日
ディアイティは10月20日、長野県松本市の慈泉会相澤病院の「病棟看護システム」を802.11n無線LANで構築したことを発表した。米Meru Networksの無線LAN製品を利用し、病室内で電波干渉を起こさない802.11n無線LANシステムを構築している。
相澤病院は、長野県の救急医療で高い実績を持つ病床502床の民間病院。トモセラピーやPET(ポジトロン断層撮影法)などの最先端設備を用意し、チーム医療に注力しつつ、業務効率の改善にも積極的に取り組んでいるという。これまでも無線LANを利用した病棟におけるオーダー情報の参照、カルテ参照と入力を導入してきた。
今回は「看護師をナースステーションからベッドサイドへ」とテーマを設定。業務改善の取り組みの一環として、病室での看護システムの稼働を目的に802.11nでの無線LANシステムの構築を目指した。
ディアイティでは、新無線LANシステムの構築にあたっては、医療機関での実績をもとにMeru Networksの製品を採用、コントローラ2台とアクセスポイント136台を導入し、病室内においても電波干渉を起こさない802.11n無線LANシステムの構築に成功したという。また、頻繁なレイアウト変更やクライアントの増設、帯域拡張といった病院特有の課題を解決し、病室内のノートPCでもナースステーションのデスクトップPCと同じように業務アプリケーションを操作できる環境が整ったとしている。
相澤病院では、患者のベッドサイドでの端末利用が可能になったことから、患者の装着するバーコードと注射器のバーコード照合が可能になった。また、リアルタイムでの治療と投薬の情報入力が可能になったことで、病室とナースステーションとの往復時間が削減され、業務効率が大幅に向上。看護師の残業時間も半分となり、余裕をもって患者のケアに従事できるため、医療の質の向上にもつながったという。
5.インスリン 分泌メカニズム解明 岡崎の研究所
読売新聞社2010年10月21日
糖尿病治療薬に期待
膵臓(すいぞう)の中にある特定のたんぱく質が糖と消化管ホルモンの刺激を受けて、血糖値を下げるインスリンの分泌を促すメカニズムを世界で初めて解明したと、自然科学研究機構・生理学研究所(岡崎市)の富永真琴教授(分子細胞生理学)らの研究グループが20日発表した。
アメリカ糖尿病学会の専門学術雑誌「ダイアベテス」電子版(10月4日)に論文が掲載された。食物が体内に入ると消化管から分泌されるホルモン・インクレチンの刺激が作用するメカニズムは、これまで不明な部分が多かった。インスリンが不足するタイプの糖尿病治療にはインスリン注射などが主流だが、富永教授は「今回の発見でインスリン注射に代わる画期的な経口薬の開発につながる可能性がある」と話している。
富永教授は、膵臓の細胞がインスリンを分泌する時に作用するたんぱく質「TRPM2」に着目。遺伝的にこのたんぱく質が欠損したマウスを使って血糖値の様子を観察した。その結果、欠損したマウスでは糖や消化管ホルモンを与えてもインスリンの分泌は少なく、血糖値はそれほど下がらなかった。一方、通常のマウスに糖と消化管ホルモンを別々に投与すると、双方にTRPM2が対応してインスリンの分泌を促すことがわかった。
このため、TRPM2を効果的に刺激する物質が分かれば、インスリンの分泌を効果的に促す薬の開発につながるという。
6.シークヮーサー:果皮成分 ATL抑制
毎日新聞社2010年10月21日
シークヮーサーの果皮に含まれる香り成分の一種「ベータ・カリオフィレン」に成人T細胞白血病(ATL)や炎症性疾患を抑える作用があることが大分大学医学部の伊波英克准教授や琉球大学農学部の和田浩二教授らの研究で分かった。ATLに対する新規の機能が確認できたとして、物質特許を出願している。両教授が19日、沖縄科学技術振興センターの地域産業技術活性化・高度化支援事業成果報告会で発表した。
ベータ・カリオフィレンはユズやカボスなど一部のかんきつ類にしか含まれていない。実験室レベルの研究で、臨床試験には至っていないが、伊波准教授によると、サプリメントなどへ応用できる可能性があるという。
ATLはヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染により通常の細胞にTax(がんタンパク質)が発生し、Taxの作用で免疫応答反応に働く遺伝子群の発現をつかさどる核内転写因子NF-κBが過剰に活性化することで発症する病気。国内に120万人のHTLV-1感染者がおり、その5割が九州・沖縄地方に偏在している。
ベータ・カリオフィレンはTaxを分解することにより、NF-κBの過剰活性化を阻害する効果があるという。
実験ではベータ・カリオフィレンのATL細胞に対するアポトーシス(細胞死)誘発作用は、正常細胞に対する作用の20~100倍であることを確認した。
伊波准教授は「ベータ・カリオフィレンはATL関連では全くノーマークの物質だった」と語った。
7.妊娠初期の「花粉」が、子どものアレルギーと関連 フィンランド研究
AFPBB News2010年10月21日
子どものアレルギーリスクは、妊娠3か月目までの季節と関係している可能性があるという研究結果が、20日の英医学専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に発表された。
フィンランド・オウル大(University of Oulu)の研究チームは、同国南カレリア(South Karelia)県で2001~06年に生まれた子ども5920人のうち、4歳までにアレルゲン皮膚テストを受けた961人に注目した。
陽性反応が出たのは、10~11月生まれでは10%と、6~7月生まれの2倍だった。10~11月生まれでは、特に牛乳と卵に対するアレルギー反応が強かった。
理由については、10~11月生まれは、胎児の成長において重要な時期である妊娠11週目に大量のカバノキ、ハンノキの花粉にさらされたためではないかと見ている。これらの花粉の飛散量が1年で最も多いのは4~5月だ。
反対に、飛散量が最も少ないのは12~1月。アレルギー反応が最も弱かったのが6~7月生まれであることと符合する。
赤ちゃんが妊娠初期に胎内で強力なアレルゲンに触れると、免疫系の発達に影響を及ぼす可能性があるが、そのメカニズムは不明だ。
スウェーデン、日本、オランダの研究者らも、これまで、北半球の秋冬に生まれた子は、春夏に生まれた子に比べ、湿疹やぜんそくに似た喘鳴にかかりやすく、血中の抗原レベルも高いとする研究結果を発表している。
8.腰痛防止へ「腰みがき」 日ごろの運動と姿勢が大事
産経新聞社2010年10月21日
原因を特定できない慢性腰痛症を予防するため、「腰みがき」が提唱されている。歯磨きのように習慣として正しい姿勢の維持と運動をすることを指し、腰痛の治療や防止を図るのが目的。腰痛は、運動機能の衰えから歩行機能が低下する「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」の要因の一つと考えられ、ロコモ予防の手段としても腰みがきは有効だという。